発信者情報開示請求の事例の紹介

投稿者の特定―発信者情報開示が認められた例

***事例①***

「○○県で1~2位を争うブラック企業だよ。」と書き込まれた!

【判断】

社会的評価を低下させる名誉毀損にあたるものとして、発信者情報開示が認められました。 

東京地判平成24年12月18日は、

「労働環境の劣悪な企業一般をブラック企業と称し,当該企業が,労働法やその他の法令に抵触し,またはその可能性があるグレーゾーンの条件での労働を,意図的・恣意的に従業員に強いている,あるいは,パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つことを示し,環境破壊や周辺環境・地域社会への配慮・貢献等への考慮が薄い企業であるなどとも解されることがあることが認められる。

 したがって,ブラック企業という場合には,その程度の差はあるものの,労働諸法規等の各種法令に反し,あるいは,反する可能性がある程度まで労働環境等が劣悪であることを示すものといえるから,本件記事1の記載は,原告の社会的評価を低下させるものというべきである。」として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成24年12月18日(平成24年(ワ)第14348号)) >>詳細はこちら。

***事例②***

「情弱は自分が働いてる会社がブラックってことにすら気付けない。

「いい会社だなー」と思って働いてると思うよ。ほかの会社での経験もない若い人しかいない感じだし。そういう頭弱い若い人ばかり集めるのは人件費削減の方法じゃないか?」と書き込まれた!

【判断】

ブラック企業であることを摘示し,これを前提として意見を述べるものであり、名誉毀損にあたるものとして、発信者情報開示が認められました。

東京地判平成24年12月18日は、

「本件記事2は,一般閲覧者の普通の注意と読み方を基準として,前後の文脈(甲3)から解釈すれば,原告の社員には,他の会社で働いた経験のない若い人が多く,そのような社員は,原告がブラック企業であることにすら気付かないという趣旨と解される。

 したがって,原告がブラック企業であることを摘示し,これを前提として意見を述べるものであり,ブラック企業という言葉が,労働諸法規等の各種法令に反し,あるいは,反する可能性がある程度まで労働環境等が劣悪であることを示すものといえることは上記のとおりであるから,本件記事2も原告の社会的評価を低下させるものというべきである。」として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成24年12月18日(平成24年(ワ)第14348号)) >>詳細はこちら。

***事例③***

「○○県△△市 □□社 給料を払ってくれない どうしようもない経営陣」と書き込まれた!

【判断】

一般の閲覧者に対し,□□社が従業員に対して給料の支払を不当に拒んでいるとの印象を与えるものであり、名誉毀損にあたるものとして、発信者情報開示が認められました。

東京地判平成26年5月20日は、

「本件投稿1は,原告において給料の不払があるとの事実を摘示するものであると認められる。そして,当該摘示に係る事実は,一般の閲覧者に対し,原告が従業員に対して給料の支払を不当に拒んでいるとの印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものであると認めることができる。」として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成26年5月20日(平成26年(ワ)第4429号))  >>詳細はこちら。

***事例④***

「○○県△△市□□エンジニアリング 死にたい方は入社どうぞ ブラック」と書き込まれた!

【判断】

□□エンジニアリングがブラック企業であって労働条件が劣悪であるとの事実を摘示し、社会的評価を低下させるもので、名誉毀損にあたるものとして、発信者情報開示が認められました。

東京地判平成26年5月20日は、

「本件投稿3は,全体として,原告がいわゆるブラック企業であって,その労働条件が劣悪であるとの事実を摘示するものであり,原告の社会的評価を低下させるものであると認めることができる。」として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成26年5月20日(平成26年(ワ)第4429号)) 

 >>詳細はこちら。


***事例⑤***

「○○県△△市□□エンジニアリング 30年前の技術力で他の会社が食いつきもしない 残飯案件で数をこなし首の皮一枚で生きてる会社 チンピラまがいが残ってしまいまともな社員がいない」と書き込まれた!

【判断】

一般の閲覧者に対し,原告の経営状態が極めて悪化しており,社内には真っ当な従業員が残っていないかのような印象を与えるもので、名誉毀損にあたるものとして、発信者情報開示が認められました。

東京地判平成26年5月20日は、

「本件投稿4は,原告が「残飯案件で数をこなし首の皮一枚で生きてる会社」であり,原告には「チンピラまがいが残ってしまいまともな社員がいない」との事実を摘示するものであるところ,当該摘示に係る事実は,一般の閲覧者に対し,原告の経営状態が極めて悪化しており,社内には真っ当な従業員が残っていないかのような印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものであると認めることができる。」として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成26年5月20日(平成26年(ワ)第4429号))  >>詳細はこちら。

***事例⑥***

「○○県△△市□□エンジニアリング 残業代カットしまくり ブラック 年収200万円台の会社 社内は地獄絵」と書き込まれた!

【判断】

□□エンジニアリングの従業員の年収が押し並べて200万円台であり,社内の状況が殺伐とし,従業員が劣悪な労働条件の下で悲惨な状態に置かれているかのような印象を与えるものであり、名誉毀損にあたるものとして、発信者情報開示が認められました。

東京地判平成26年5月20日は、

「本件投稿5は,原告が「年収200万円台」のいわゆるブラック企業であり,社内が地獄絵と評すべき状態にあるとの事実を摘示するものであると認められる。そして,当該摘示に係る事実は,一般の閲覧者に対し,原告の従業員の年収が押し並べて200万円台であり,また,原告の社内の状況が殺伐とし,従業員が劣悪な労働条件の下で悲惨な状態に置かれているかのような印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものと認めることができる。」として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成26年5月20日(平成26年(ワ)第4429号))  >>詳細はこちら。


***事例⑦***

「退職金(平均3,000)が支払えるのはあと50人足らずみたいだよ。退職給与引当金も特定損失されてるし退職準備積立金は20143月改定される すなわち退職金は支払われない」と書き込まれた!

【判断】

会社の財務状況が50人程度以上には退職金を支払えないほどに悪化しているという印象を与えるもので、名誉毀損にあたるものとして、発信者情報開示が認められました。

東京地判平成26年7月30日は、

「本件投稿7は,一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準として,その引用する投稿記事の内容や前後の投稿内容,文脈等を考慮して判断すると,原告会社において退職金が支払えるのはあと50人足らずのようであり,退職準備積立金の改定等により退職金は支払われないという事実を摘示するものであり,原告会社の財務状況は50人程度以上は退職金を支払えないほどに悪化しているという印象を与えるものであって,原告会社の社会的評価を低下させるものと認められる。」として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成26年7月30日(平成26年(ワ)第2296号))

***事例⑧***

「○○電工は関西の業者思いの△△さんにもっと頑張ってほしい。業者虐めで横領を繰り返している□□をすぐにでも摘発してほしい」「○○さんよ□□の横領どうなってるのよ。そんな奴のいる○○製品全品残らず撤去だ!」と書き込まれた!

【判断】

○○社は経営者が横領を繰り返しているにもかかわらずそれを放置あるいは容認しているという印象を与えるものであり、名誉毀損にあたるものとして、発信者情報開示が認められました。

東京地判平成26年7月30日は、

「本件投稿5及び8は,一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準として,その引用する投稿記事の内容や前後の投稿内容,文脈等を考慮して判断すると,いずれも,原告会社は,横領を繰り返しているFを経営陣にいれているという事実を摘示するものであり,この事実は,原告会社は経営者が横領を繰り返しているにもかかわらずそれを放置あるいは容認しているという印象を与え,原告会社の社会的評価を低下させるものと認められる。」として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成26年7月30日(平成26年(ワ)第2296号))

***事例⑨***

虚偽のツイッター投稿に娘の写真を無断転用された!

【判断】

肖像権侵害を理由とした発信者情報開示請求が認められました。

2014年8月に自分のツイッターに投稿した娘の写真が、2015年8月、「安保法案に反対するデモで孫が死んだ」との虚偽のツイッター投稿に無断で転用されたとして、新潟市在住の夫妻が、プロバイダーに対し、発信者情報の開示請求をした事件において、

新潟地判平成28年9月30日は、

娘の写真が夫妻により「ウェブサービスで公開されていたからといって、不特定多数への公開を黙認していたとみることはできない」と指摘し、「発信者が画像を添付した記事を投稿したことで、肖像権が侵害されたことは明らか」であるため、「原告側には発信者に対する損害賠償請求のために情報開示を受けるべき正当な理由がある」と判断し、発信者の情報の開示を認めました。

なお、本件では、マンション単位でプロバイダーを契約しており、プロバイダーは個々の利用者の氏名や住所を把握していなかったため、開示の対象は、投稿者の住所とマンション名となりました。

(新潟地判平成28年9月30日)

***事例⑩***

転職情報サイトに「社長はワンマン」「管理職に管理能力はない」と書き込まれた!

判断

名誉毀損を理由とした発信者情報開示請求が認められました。

2016年10月、大手転職情報サイト「転職会議」の口コミ欄に、ある徳島市の企業について、同企業の従業員を名乗る人物が、「社長はワンマン」「管理職に管理能力はない」などと匿名で投稿しました。同企業が、プロバイダーに対し、発信者情報の開示請求をした事件において、プロバイダーは、投稿者の意見であって、企業の社会的評価を低下させたとまでは言えないとの主張をしました。

高松地判平成29年8月22日は、

「前提となる真実性や相当性が証明されて」おらず、「名誉が毀損されたことは明らかだ」として、発信者の情報の開示を認めました。

(高松地判平成29年8月22日)

※なお、判決全文は公開されておらず、上記は報道に基づきます。

***事例⑪***

「とにかくパワハラ最悪。」「精神病んで辞める人多数でいつ訴えられてもおかしくない社長でした。」と書き込まれた!

【判断】

会社の社会的評価を低下させ、名誉権を侵害するものとして、発信者情報の開示が認められました。

東京地判平成28年9月7日は、

「とにかくパワハラ最悪」は、「原告会社において,その代表者が従業員に対し頻繁にパワハラに該当する行為を行っているという事実が摘示されているものと解することができる。会社の中でパワハラが頻繁に行われていることは,その会社の評価を低下させることになるということができる。」

「精神病んで辞める人多数でいつ訴えられてもおかしくない社長でした。」は、「原告会社においては,代表者のパワハラなどにより,多数の従業員が,精神を病んで退職しているという事実を摘示するものと解される。」「多数の従業員がそのパワハラにより,精神を病んで退職しているという事実は,原告会社が職場環境として劣悪な会社であることを想起させ,原告会社の社会的評価を低下させるものということができる。」

として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成28年9月7日(平成27年()第35465号))  >>詳細はこちら。

***事例⑫***

「社長の気分によりいきなりクビになる人を何人も見てきた。」「辞めたくても脅されて辞めれない人もいた。」と書き込まれた!

【判断】

会社の社会的評価を低下させ、名誉権を侵害するものとして、発信者情報の開示が認められました。

東京地判平成28年12月12日は、

「一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すれば,本件投稿のうち「社長の気分によりいきなりクビになる人を何人も見てきた」との部分は,原告においては社長の恣意的判断による即時解雇が少なからず見られ,労働法制が遵守されていないとの印象を与えるものであって,原告の企業としての社会的評価を低下させるものといえる。同様に,「辞めたくても脅されて辞めれない人もいた」との部分は,原告においては脅迫による退職妨害も見られ,やはり雇用管理が不適切な企業であるとの印象を与えるものであって,同様に原告の社会的評価を低下させるものといえる。」

として、書き込んだものの情報の開示を認めました。

(東京地判平成28年12月12日(平成28年()第31032号))  >>詳細はこちら。

 

 

***事例⑬***

「とにかく社長の言う事は1日、2日ですぐ変わるので付いていくのが大変です。」「男尊女卑の傾向が強い社長なので、女性は働きにくいですね。」と書き込まれた!

【判断】

会社の社会的評価を低下させ、名誉権を侵害するものとして、発信者情報の開示が認められました。

東京地判平成27年1月27日は、

「本件投稿1は,一般読者の普通の読み方を基準とすると,〔1〕原告代表者が,従業員が早めに帰宅することを批判する発言をする一方,残業が多くなると残業の量を減らすように指示をするという首尾一貫しない発言をしたこと,〔2〕原告代表者が指示内容を1日,2日ですぐに変更するため,従業員としてその指示に従うのが困難であり,原告の管理職はそのことを理解しているにもかかわらず,原告代表者から部下を守ってくれないこと,〔3〕原告代表者は男尊女卑の傾向が強く,女性は原告で働きにくいことを摘示するものであり,原告の社会的評価を低下させるものである。」

として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成27年1月27日(平成26年()第23041号)  >>詳細はこちら。

***事例⑭***

「査定の基準が何もなく,経営者の独断と偏見で成り立っている。」「社員の給料を時給換算すると,コンビニのアルバイトよりも低い事は間違いない。」と書き込まれた!

【判断】

会社の社会的評価を低下させ、名誉権を侵害するものとして、発信者情報の開示が認められました。

東京地判平成25年12月10日は、

「本件投稿記事2は,・・・一般読者の普通の注意と読み方によった場合,〔1〕原告においては従業員の査定に関する基準が何もなく,経営者の独断と偏見で成り立っていること,〔2〕2人の役員は,従業員に過酷なサービス残業を求めるだけ求めて手当を支払う気など全くないこと,〔3〕従業員の給料を時給換算するとコンビニエンスストアのアルバイトよりも低いことをいうものと解されるから,原告の社会的評価を低下させるものであるということができる。」

として、書き込んだ者の情報の開示を認めました。

(東京地判平成25年12月10日(平成25年()第7936号))  >>詳細はこちら。

電子メールアドレスの開示が認められた事例

発信者情報開示請求においては、開示を求め得る発信者情報として、氏名や住所のみならず、電子メールアドレスも認められています。

>>詳細はこちら

裁判例

プロフィール

弁護士 田村裕一郎
多湖・岩田・田村法律事務所パートナー

(弁護士登録番号:30183)

【保有資格】
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【所属】
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